研究の概要

1.本プロジェクトの背景と目的

コロナ禍の働き方の変化が労働者の孤立・孤独リスクを増大しています。コロナ禍における対人距離の増大、テレワークの普及、デジタルトランスフォーメーション(DX)の進展は、労働者の働き方を自律・分散化させ、企業・組織でのコミュニケーションを低下させました。この傾向はポストコロナ時代でもさらに進むと予想されてます。メタバースで勤務する新しい労働形態も出現しています。こうした新しい働き方の中で、労働者が社会的ネットワークから切り離された「孤立」状態や、労働者が主観的に「孤独」状態におちいるリスクが高まっています。そのことは生産性の低下や離職の増加など企業・組織にもマイナスの影響を与えます。

本研究では、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)社会技術研究開発センター(RISTEX)が実施する「SDGsの達成に向けた共創的研究開発プログラム(社会的孤立・孤独の予防と多様な社会的ネットワークの構築)」による研究開発プロジェクトの委託を受け、労働者の孤立・孤独を防ぎ、包摂する「いきいき・つながり職場づくり」の考え方とそのための取り組みを支援するツールを確立して、社会実装を目指す「いきいき・つながり職場づくり」プロジェクトを実施します

2.本プロジェクトの到達目標

このプロジェクトでは、経営者、労働組合、人事、産業保健専門職、行政などの代表による関係者会議およびインタビュー調査により「いきいき・つながり職場づくり」の概念枠組みを検討します。また心理学、経営学、医学、情報工学などの関連する理論を整理・統合し、離職者、外国人労働者などのマイノリティ労働者へのインタビュー調査、ソーシャルネットワーク実験を加えて労働者の孤立・孤独の発生メカニズムを解明します。

企業・職場の組織特性と孤立・孤独リスクとの関連を解析し、評価指標を開発します。社員の位置情報、オンラインコミュニケーションツール使用、メタバースオフィスでのコミュニケーション行動などのデータを時系列的に収集することで、孤立・孤独の早期サインの評価指標を検討します。

さらに職場の孤立・孤独を予防するための1)組織レベルでの対策、2)管理監督者教育、3)個人向けプログラムを開発し、効果評価・実証実験を行い、社会への普及・実装をはかります。

3.研究計画の概要

「いきいき・つながり職場づくり:孤立・孤独を予防する包摂組織の社会実装」の概要は以下の通りです。

4.研究開発実施期間

スモールスタート期間:
2022年10月1日から2024年3月31日まで

本格研究開発期間(ステージゲート評価通過の場合):
2024年4月1日から2026年3月31日まで